本の紹介

夜の空に生きる意味を問う「夜間飛行」

飛行機乗りだったサン・テグジュペリ

星の王子様に飛行機の話も少し出てくるので、作者のサン・テグジュペリが飛行機乗りだったのをご存知の人も多いのかもですが、ちょうどサンテグジュペリが生まれて大きくなるころに飛行機が飛び始めた頃だったようです。

サン・テグジュペリが3歳のときにライト兄弟が初飛行をし、9歳のときにルイ・ブレリオが英仏海峡を横断し、13歳のときはローラン・ギャロスが地中海を横断したという時代で、自身もフランス-ベトナム間最短時間飛行記録に挑戦してサハラ砂漠に不時着したのが星の王子様の原型なんだそうです。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0016.html

で、偵察飛行で行方不明になったのは44歳で、既に第二次大戦が始まっていて、ドイツ機に追撃されたかもしれないのだそうですが、そんな時代感の中のお話がこの夜間飛行なんですね。

人生で意味のある2つの仕事

(以降ネタバレありです)

パタゴニアからブエノスアイレスへの郵便飛行が舞台なのですが、当時は飛行機輸送は初期で、なんとしても夜間飛行をして他の交通手段より優位であることを示さないといけない時代だったそうですが、その中で主人公と上司の間に、人生で意味がある2つの仕事を投影して描いています

  • 一人目は上司リヴィエール
    意思が強く、人類の達すべき仕事として郵便事業を見据えている。これが1つめの「人間の生きる意味」を象徴しているものとして描かれています。
    人間的な感情は理解しながらも冷徹なまでに目的達成のために行動する姿は凄く印象的で、
    人に好かれたければ人の気持ちに寄り添ってみせれば良いだが私はそんなことをしない

    部下を慈しめ、だたそれを口に出すな

    と名言を連発します。
  • もう一人は飛行士ファビアンの妻。
    家庭というもうひとつの「人間が生きる意味」として出てくる。

明確には書いてないのですが、サン・テグジュペリは両方をもって人間が生きる意味と考えていたんじゃないかと私は感じました。
シンプルながら対立しうるこの2つをテーマを論理的というよりは詩的に物語的に対比させて描くことで、答えを出さずうまく読者に考えさせるようになっていて、サン・テグジュペリは天才だなと思った次第です。

星の王子さまとの共通テーマ「内側を感じる」

松岡正剛さん曰く、星の王子さまと人間の土地には共通の「外側から内側を感じることが大切」というテーマがあるということです。

星の王子さまで「箱の中に羊がいる」という話があったように、空の上から家々を見てそこに一つ一つの家庭があることを想像するのが大切だということなんだそうで、なんとも優しい視点ですねー。

おじおじ的おすすめ度

詩的な書き口で人間の生きる意味がじんわり染み込む名著です。