本の紹介

ホントに一秒で読める「1秒!で財務諸表を読む方法」

本当に1秒だけ読むとしたら ~ 財務諸表の重要なポイントを押さえる

この本の良さのポイントは「一秒で読むとしたら」というたとえでものすごくたくさんの数字が並んでいる財務諸表のどこが重要なのか?を教えてくれることです。

1秒目は何かというと「流動比率」です。

これは流動資産(現金とか預金とか近いうちに帰ってくる債権)を流動負債(近いうちに支払わないといけない借金)で割ったもので安全性を表す指標です。

もちろん資産が多く負債が小さいほうが安全なわけで、目安としては120%以上あると安心だが、小売や電力、鉄道のように日銭が入る業界(すぐにお金が集まる業界)では100%切ってても大丈夫とのことです。

その次「二秒目」は次に自己資本比率です。

これも同じく安全性の指標で、自己資本を総資産で割ったものです。自己資本は要は株式発行で返さなくていいお金なので、自己資本比率は基本的には高いほうがよく、製造業など設備を必要とする会社なら20%、最低10%は必要。

ただ、逆に自己資本比率は高すぎてもダメという面もあります。
特に上場している場合は、自己資本が多すぎると、自己資本に対する利益率が下がり、株価が安くなり敵対的買収にあいやすいという面があります。

また、自己資本(株式発行)の方が銀行等からの借金よりも高い期待利回りなので、自己資本比率が高いとWACC(要は借り入れでの資金調達と株式発行の資金調達の利回りを加重平均したもの)が上がる傾向になり、利回りが経営を圧迫しかねないというという面もあります。

あれ?同じ指標でも高いほうがいい場合と低いほうがいい場合があるの?

と思ったらそれは鋭いです。

1つには指標にはトレードオフ(高くても低くてもダメでちょうどいいくらいがある)ということもあるのですが、見る人の立場によって重要度や高いほうがいいか低いほうがいいかが違うんですね。

たとえばこの1番目の流動比率だと会社がつぶれそうかどうかを表すので、社長も社員も、お金を貸し付けてる銀行も、株を持っている株主も全員つぶれないようを願っているに違いないでしょう。この点でも最重要というわけです。

自己資本比率くらいになってくると重要は重要でもいろいろな思惑が違ってきて、

社長:つぶれないように自己資本比率は高めにしとこう。

株主:1株当たりの収益を高めるために自己資本低めにしてほしい

銀行:つぶれない程度には多めにお金を借りてほしい。

などと、期待感が変わってくるわけですね。

早割の経済学

そのほかにも、いろいろ財務諸表の視点でいろいろ解説されていますが、早割の経済のところはなかなか面白いところです。

早割ってなんで最初に安くしちゃうの?ぎりぎりまで高く売って余ってたらだんだん安くするほうがいいのでは?

という気もするのですが、航空産業というのは航空機に加えて1回飛ばしたら固定で燃料費がかかるので固定費が多く費用回収を固めておきたいという構造が裏にあります。
なのでまず最初に解約できないチケットを損益分岐点になるまで売っておいて損をしないようにしてから、そのあと売った分はどんどんもうけになるというビジネスになっているので、飛行機が満杯近くになってくると急に利益が増加するんですね。


同じようなのが、液晶や半導体の工場で固定費分を原価償却しきればあとは安く売れるんですね。
一方で無駄に在庫が出るくらい多く作った方が利益が出てるように見えるので(固定費を割りかける全部原価計算の影響)、管理会計として固定費を割りかけない直接原価計算で防ぐ必要があるとのことです。

おじおじ的おすすめ度

数字の羅列と思っていた財務諸表が急に意味を持って見えてくるのはなかなか快感です!